日本財団 図書館


 

間中2つの相のサイリスタが閉じた接点と同じ働きをする。この短絡現象に伴ってU2相の立上がる電流はサイリスタS1を流れるi1を打ち消し、次のアームのサイリスタS2の電流i2を形成する。この2つの電流の和i1+i2は平滑インダクタンスのために常に一定の値Idを保つ。このように転流過程において2つの電流が重なり合う時間の長さを「転流重なり期間」又は「転流重なり角」といい、位相角の大きさで表される。転流重なり角μは電源インダクタンスの大きさのみでなく、直流電流の大きさ及び位相制御角αにも関係し、約90°位相制御時には最小となる傾向がある。なお、転流期間中に生じる非平滑直流電圧は転流に関与している変圧器の2次電圧の和の1/2に相当して時間的に変わる。
(b)三相全波純ブリッジ整流回路のゲートパルスこの回路は図7・19に示すように整流6アーム全部がサイリスタを有し、1サイクル周期に6制御パルスを与える代表的な制御整流器の回路であるが、整流回路としての確実な動作を達成するためにゲートパルスの与え方が重要である。ので、その概要を下記に述べる。
点弧用のゲートパルスは負荷を通じて電流が電源側に循環できるよう正、負極側のサイリスタが交互に且つ相順にしたがって図7・19のC図に示すように、サイリスタのゲートに供給されねばならぬ。ゲートパルスは(180°−α)の時間幅を有するシングルパルスか、又は適当な間隔を有するダブルパルスで、ダブルパルスの場合は、後のパルスが次に動作するサイリスタの主パルスと同時に発生する。

 

122-1.gif

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION